「MONEY もう一度学ぶ お金の仕組み」を読んでみた。

過去を学べばこれからが分かる‼︎の精神で読み始めたのが今回の本。
分厚いし高いし難しそうだし、それは辛い戦いになりそうだなと思っていましたが、意外なことに面白い、読みやすいよこれ。
(所々、言い回しのよくわからない箇所があるが、翻訳書なので仕方ないだろう)
第1章は、お金とは何かから始まります。そんなところから始まります?という気がしなくは無いが、言われてみればお金についてしっかりと考えた事はなかった。
実際に世界で起こった事例(ジンバブエドルなど)を引き合いに出しながら、お金とは何か?どんな性質を持っているべきものか説明がされています。

この本で個人的に印象的だったのは、ジンバブエ(ハイパーインフレ)の反対の例として日本(デフレ)が出されていたことですかね。
ジンバブエなんて、最終的に、トイレットペーパーよりもお札の方が安くなっちゃって、トイレに「お札を流さないで」なんて注意書がされていた国ですよ。そんな国と比較されるとはって感じ。
20年間も物価が下がり続けている日本って、やっぱり異常な状態だったんですねぇ。変化が劇的じゃないから、みんな生活できているだけで、日本は大変な状態だったのね、やっぱり。(だったの過去形は適切な表現ではないかも知れんが)
なぜ日本はデフレになったのかも作者の見解が書いてありますが、読むと日本の政治家がまた少し嫌いになりますね。
(結局、私の印象としては、政治家が保身を優先して、その場しのぎを続けたのが原因かーって感じです。)
その他、インフレとデフレのどっちがより悪いのか。インフレ率の評価方法はこれまでどのように発展を遂げてきたか、アメリカはこれまでどんな金融政策をしてきて、どんな失敗をしてきたのか等々書いてあります。
ここまでの内容でわかると思いますが、株に勉強には使えないねー。
経済学の権威たちの言葉や、その人たちがどんな意見を主張し、どんな政策を行ってきたか(そして、その政策がなぜ失敗したか)が書いてあるので、株の勉強ではなく、経済の勉強ですね。
株の投資をする際に、マクロ分析をしたい、各国の経済政策を理解して、世界の流れから投資のタイミングを計りたいって人にはオススメできるかも。
資産運用の内容と絡めるとしたら、後半にある、リーマンショックの内容ですかね。
と言うか、この本はリーマンショックについて理解してほしいがために、お金とは何かから話が始まっている本なので、ここがメインですね。
リーマンショックといえば、誰もが(名前だけは)知ってる金融危機かと思います。
この本を読むことで、恐慌の始まりをつかめるのであれば、この本の値段なんて安い投資ですね。
(タイミング分かっても恐慌なんて来てほしくないですがね、株だけで飯食ってるなら、空売りで儲かるかもしれませんが、会社に属しているなら不景気は大敵)
リーマンショックの時は、日本に住んでいる、株もやってないただの学生だったので、単なる不景気程度の認識しかなかったですが、相当大変な状況だったみたいですね。
金融経済が崩壊するかもしれない、むしろ崩壊の一歩手前までいっていたと記載されています。
あの当時のFRBが優秀で本当に良かった。
リーマンショックの内容を読んでみて一番感じたのは、仕組みや内容のよくわからん対象には投資するなってこと。
リーマンショックも、自分の持っている証券に、返済能力の低い人の住宅ローンがどの程度含まれているか分かっていれば、金融危機には発展しなかった。
(リスクの高い部分が分かっていれば、そこだけ捨てれたのに、どこにリスクの高いものがあるか分からなかったから、全部捨てる羽目になり、お金の循環が止まった。)
結局、調子に乗って良く分からんものにお金が集まり、銀行がそれに乗っかて商売を始め、さらに人が集まり、元々あったリスクに人々が気付き始めてパニックになり金融危機が起こる。
人間の歴史は結局これの繰り返しみたい。
こう考えると、仮想通貨を発端にした金融危機は起こらないでしょうね。
バブルバブルと言われていて、みんなそこまで仕組みを理解せずに買っていますが、仮想通貨にそこまでの信頼はないというか、無価値なものになるってリスクは、承知済みのところありますからね。
バブルがはじけても、あーやっぱりで終わりでしょう。(私は仮想通貨、少し持ってるので、バブル弾けてほしくないですがね。)
この本にも少しだけ記載がありますが、仮想通貨に使われている技術はすごいが、通貨としての価値はどうよ?と。
この本によると、お金が持つべき性質は、会計単位、価値の貯蔵、交換媒体の3つ。
残念なことに、仮想通貨はこの性質を満たせていないんだとか。
価格変動の大きなものなので、会計単位として安定せず、結果、交換媒体としても使いにくい。
価値の貯蔵も、コインチェックの事件を思うとイマイチ頼りない。
安全な保管もありますが、、、万人に使いこなせるものとは言い難いかな。保管時のパスワードを忘れたら、もう取り出せないみたいですし。
(詳しくないので、多分ですけど。銀行預金みたいに身分証で確認とはいかんはず。)
G7で、仮想通貨の規制について話し合われた時に、あえて通貨とは呼称せずに、暗号資産と表現されてしたが、おそらくこの辺りが理由でしょうね。
期待はしているが、現時点では、通貨に必要な性質が無く、通貨と呼べるような代物で無いってこと。
これからうまいこと発展していってほしいところですね。
話が逸れましたが、この本は結局、お金とは何かから始まり、なぜ不景気、金融危機が起こるのかが説明され、今度の金融政策の課題は何かで締められています。
株とはあまり関係ない本でしたが、外国人の視点から日本の経済政策(アベノミクス)についても触れられていたり、トリビア的な知識が散りばめられていたりと、読んでいて飽きない内容でしたね。

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